幼児食とは
簡単にいうと、1歳半〜5歳くらいまでの食事を幼児食と呼びます。
幼児食は、それまで飲んでいた粉ミルクやフォローアップミルクや母乳は与えずに、朝昼晩3回食事とおやつ(間食)からのみ栄養を摂れるように調理した食事のことになります。
生後5か月くらいから始まった離乳食は、1歳(生後12〜13ヶ月くらい)を目処に卒業します。しかし、離乳食を卒業したからといっても、まだまだ消化機能が未熟な状態であるため、すぐに大人と同じ食事ができるわけではありません。
そのため、具材の切り方や調理方法や味付けに配慮が必要な離乳食完了期(生後13〜18ヶ月)を経て、大人の食事に少し手を加え、子ども向けに薄味に仕上げたものが幼児食です。幼児食は1歳半〜2歳の幼児食前期と、3歳から5歳の幼児食後期に分かれています。
ただ、子どもの身体的発達や疾病歴によって、それぞれ進み具合や時期に多少のズレはあります。
幼児食の必要性
食生活の基礎を作る
身体はもちろん、心や脳の発達も進むこの時期には、できるだけ家族や周りの人と一緒に食事をし、また、食に興味を持たせてあげられるような収穫体験や調理などの簡単な食育の機会をできるだけ与えてあげましょう。
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正しい食習慣の形成
今日のごはんは明日のからだ!と言われているように、今食べたものが今後の身体を作っていきます。
将来のためにも、本物のだしや無添加調味料などを使用し、薄味でも美味しいと感じられるような舌を育ててあげましょう。
また、この時期におやつ(間食)の適切な摂り方や規則正しい時間に食事をとるような習慣を身につけさせてあげることが大切です。
上記の事を気にせず適当な食事ばかりしていると、肥満やアレルギー疾患などの原因にもつながりやすくなります。
体の成長を促す
体の成長のためには、色々な栄養素をバランスよく摂ることが大切になってきます。
主食・主菜・副菜をそろえ、良質な炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などがバランスよく摂れる食事を心がけましょう。
離乳食を卒業し、幼児食に移行する具体的なタイミングは?
個人差はおおいにありますが…
離乳食を開始してから、段階を踏んで、舌や歯茎で潰せる程に柔らかい離乳食を食べていたのが、第一乳臼歯が生えてくる頃(12か月~18か月)になると、形のある食べ物を歯でかみつぶすことができるようになります。
エネルギーや栄養素の大部分が、母乳または育児用ミルク以外の食べ物からとれるようになったら、離乳食から幼児食に切り替えるタイミングです。
しかしながら、離乳食の完了は咀嚼機能の完成ではありませんし、母乳または育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものでもありません。
参照:授乳・離乳の支援ガイド https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0314-17.html(厚生労働省)
幼児食の期間はいつからいつまで?
離乳食の開始時期や進め方にも個人差があるように、幼児食もその子の成長に合わせて進めてあげることが大切です。1歳半(18か月)になったから開始するというのではなく、子どもの成長ペースに合わせて進めていきましょう。
開始目安としては、
・水分を自分自身でコップからとることができる
・1日3食の食事ペースに慣れて、食事から十分に栄養を摂れる
・食べ物を前歯だけでなく、奥歯でしっかりと噛みつぶせるようになっている
・自分で食べようとする
必ず出来ていなければというわけではありませんが、上記の条件を幼児食を始める際の目安としてみてください。
また、いつまで続けるべきなのかという決まりは明確にはありませんが、おおよそ5歳くらいまで続けてあげることが望ましいとされています。
幼児食を与える上での注意点
量はどれくらい??
厚生労働省の取りまとめる日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、1日の推定必要エネルギー量は、
1~2歳児の女の子で900kcal、男の子で950kcal、
3~5歳児の女の子で1250kcal、男の子で1300kcal
とあります。育児中のお母さん達の必要エネルギー量は、1日約2000kcal~2300kcalなので、だいたいお母さんの半分くらいのエネルギー量が必要と考えればよいでしょう。
しかしながら、子どもは大人と違い1度にたくさん食べられないので、朝昼晩の3回の食事に加えて、1回または2回※のおやつ(間食)で補完することで1日分の必要エネルギーを摂取します。
※1歳半〜2歳までの幼児食前期のうちは午前と午後の2回に分けます。
参照:(厚生労働省)日本人の食事摂取基準2015年版概要 7ページ
気を付けたい食材
噛みにくいものや、飲み込みにくいもの
たこやいか、厚みのあるお肉、こんにゃく、かまぼこやちくわ(練り製品)のような弾力があるものは、なかなか噛み切れず、いつまでも口の中に残ってしまったり、飲み込みにくいため、2歳くらいまではなるべく様子を見て、かむ力がついてきたら細かくカットした状態のものを少しづつ与えるのが望ましいでしょう。
ミニトマト、キャンディーチーズ、飴玉等の一口サイズの丸い形状のものは、子どもの喉に丁度はまってしまうので、与える時はカットし、口に入れた物が食べ終わるまで子どもから目を離さないようにしましょう。
また、ナッツ類や節分の豆等も、誤嚥してしまうと、器官に詰まったり誤嚥性肺炎をおこしたりして危ないので、3歳くらいまで避けましょう。
生もの
2歳くらいまでの子どもは、消化器官も発達段階でまだ抵抗力が弱く、細菌性の食中毒やアレルギーになる可能性が高いため、生の刺身や魚卵、生卵は与えないことが望ましいでしょう。
個人差はありますが、3歳くらいになってくると消化機能がある程度整ってくるので、最初は少しずつ、新鮮な物を与えましょう。ただし、魚卵(いくらやたらこ等)には塩分も多いので、慣れてきても量を制限することが得策です。
塩分の多い加工食品
梅干し(漬物)、佃煮、干物、ウインナーやハム・ベーコンなどの食肉加工品、カップラーメン、インスタント食品、練り製品等は、塩分や添加物が多く含まれています。幼児の望ましい塩分摂取量は大人の半分程度です。大人と同じものを同じ量で食べていては、塩分過剰摂取になってしまいます。与える時は少量にし、ウインナーやハムや練り製品等は調理前に一度湯がくといいでしょう。
幼児食を与えるうえで一番大切なこと
一汁二菜が理想的です。ごはんやパンなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜の副菜をそろえると、栄養バランスが整いやすいです。ただ、この時期は食べ方や気分にムラがあることも多いので、毎食しっかり食べなくても、2〜3日くらいでしっかりと食事ができていればよいと考えてみてください。そして、何より子どもと一緒に、楽しく食事の時間を過ごすことを心がけましょう。
【まとめ】
幼児食の時期は、手づかみ食べが上手になったり、スプーンやはしが上手に使えるようになったりと、日々成長が感じられるようになります。また、好き嫌いも出てくる時期ですが、嫌いなものもいつの間にか食べるようになるので、めげずに食卓に並べることが大事です。無理強いはしないで、長い目で見守ってあげるようにしましょう。